孤独だからこそ

SF作家シオドア・スタージョンの短編集「一角獣・多角獣」読了。

 

ビアンカの手 ・孤独の円盤

・めぐりあい  ・監房ともだち

が特に好き。

 

孤独の円盤の序盤の海についての文章、

「さまざまなものがもつれあった飛沫。色彩に重なる色彩。単なる色彩ではなくて、白と銀色の入りみだれ。

もしもこの光が音だったら、それは砂浜に寄せる波のような音であるにちがいない。

もしもわたしの耳が目だったら、その目はそんな光を見るにちがいない。」

 

この文章にうっとり。こんな感性を持つなんて、と思っていると、それが作者が持つものだけではないというのが話を読み進めると分かり切ない。どの話においても、序盤から想像できない結末を迎えるのが彼の特徴みたい。

悲しみを、孤独という孤独を底まで知っているからこんな文章が書けるんだなと思う。

 

孤独の円盤はロマンチック寄りだけど、他は基本的に救いがなく一話一話の印象が強烈。個人的にテーマは美と破滅だと思っている。

安部公房コルタサルみたいな幻想文学が好きな人は、好きだと思います。おすすめ。